飲食店火災予防のポイント
飲食店の火災増加の背景
東京消防庁の管内における飲食店の火災件数は増加傾向にあり、
毎年300件ほど発生しています。
増加の原因として、非正規雇用従業員への依存(管理意識の低下)の諸事情により、メンテナンス意識・頻度の減少があげられています。
排気ダクトに対する管理意識は低い事が多く、これが延焼ルートとなって被害が拡大する危険性がとても強いため、定期的な点検・保守等は条例で義務付けられています。
この防火管理の懈怠への処罰は軽くなく、経営者、建物所有者、従業員に刑事責任が問われ実刑になった事例も多くあります。
飲食店火災原因トップは「放置する・忘れる」!
飲食店の厨房設備からの火災は、調理中に火をかけたまま、その場を離れ、火災に至ったというケースが大半を占めます。また、排気ダクト内にたまった油脂に火がつき延焼拡大する恐れがあります。
排気設備の維持管理の不徹底は延焼拡大の原因に
厨房設備等から出火した場合でも、排気ダクト等は金属などの不燃材料でできているために、適切な維持管理ができていれば、即座に延焼とはなりません。
しかし、維持管理の不徹底で油脂等が付着・蓄積してしまっている場合、これらが延焼の媒体となり火災が拡大していしまします。
このため、排気設備の維持管理は非常に重要といえます。
店舗でできる確認項目
レンジフード内
内面にベトベトした油層や油埃(油の混じったホコリ)の付着がないかを目視と触って確認
溝に油が溜まってないか触って確認
グリスフィルター
フィルターを取り外し油や埃などで目詰まりしていないか確認
正しい位置に取り付けられているか確認
グリスフィルターケース(Ⅴバンク)
フィルターを取り外し内外面に油層や油埃(油の混じったホコリ)の付着がないか目視で確認
ケースから油漏れがないか目視確認
油受け容器に油が溜まっていないか目視確認。また全く溜まっていない場合はホースが詰まって正しく排出されていない可能性もあります。
防火ダンパー
フィルターを外した状態でシャッターは正常に開いているか、油埃やサビや埃等がないか目視で確認
排気ダクト(立ち上がりダクト)
フィルターを取り外した状態でシャッターの隙間から油層や油埃がないかの目視確認
換気扇
目視で正常に動いているか油層や油埃がないか確認
排気ファン
フィルターを通して排気できているか確認、屋上など目視で排気ファンが確認ができる場合はベルトのたわみや劣化亀裂等がないか油漏れがないか異音が無いかの確認
グリスフィルターの簡単な清掃方法
比較的簡単なグリスフィルターの清掃方法として、店舗の食器洗浄機を使用するやり方があります。
営業が終了しグリスフィルターを取り外し、シンクにお湯と油汚れ洗剤をためておき、外したフィルターをつけておきます。(火傷の恐れがある為に、グリスフィルターに熱をもってないか確認したうえで取り外してください。手を切ったりしないように厚手のゴム手袋も必ず着用してください。)
翌日出勤してきたら軽くスポンジやブラシで擦り、食器洗浄機にかけてください。
余分な水分をふき取りフィルターを取り付けてください。
また取り外し取り付けの際に上記で上げた点検も実施することで火災抑止にもつながります。
不具合があれば専門業者へ
フード内は飛び出たビスなどで手を切ったり、高所に設置してあるために脚立にのって無理な体制で清掃を行ない落下したりの恐れがあります。また排気ファンや換気扇などは誤った方法で対応すると指が切断されてしまうなど危険が生じます。
清掃点検の際は専門の業者へ依頼をお勧めします。